大好きな君と、初恋の続きを
トゥルーエンドはどこにある
愛する人を大切な場所に連れていき、また新たな思い出を作ることができた。彼女と繋がって、こんなに満たされた時があっただろうかというほど、今の俺はこの上ない幸せを感じている。
気分も足取りも軽く出社した月曜日、香瑚と選んだお菓子を開発部のオフィスのカフェスペースに置いておいた。土産を買ってきた人はここに置いておき、ひとりひとつずつもらっていくのが恒例となっている。
小休憩中、オフィスの入り口近くのデスクに座る仲間と、葉山に行ってきた話をしていると、なにか用事があるらしく藤井さんが入ってきた。
こちらに「お疲れ様です」と挨拶をした彼女は、俺をちらりと見て部長のもとへ向かっていく。
数分で話を終えた彼女は、自分のデスクに戻った俺のところへやってきた。先日、例の一件で少々気まずくなったが、彼女はすでにいつも通りだ。
「新涼さん、どこかに行ってきたんですか? さっき話してるのが聞こえました」
「ああ、葉山にね。祖母が住んでたところで、急に行きたくなって」
いたって普通に答えたものの、藤井さんはなにかを感じ取ったらしくぴくりと反応を示した。