大好きな君と、初恋の続きを
王子様系ハイスぺ社長ルート

 奇妙な食事会の後は、相変わらずゲームと英語の勉強で土日が過ぎていった。

 月曜日、駅を出て会社に向かう途中で一緒になっためぐちゃんに、歩きながら食事会でのことを話した。

 興味津々な彼女は、須栗社長と疑似デートをすることになった一部始終を聞き、珍しく目を輝かせて私の腕を掴む。

「先輩、それ確実にフラグ立ってるじゃないですか」
「なんのフラグ?」
「先輩が愛されヒロインになるフラグですよ。ハイスぺ社長から疑似デートを申し込まれて偽りの関係から本物になる、ってのが少女漫画のテンプレだし」

 愛されヒロインか。確かにこの展開は、あの秋華に負けず劣らずなシンデレラストーリーだろう。脱サブキャラも夢ではない。全部進展すればの話だけれど。

「まあ、本当にそうなればね。でも私はいいよ、今のままで」
「なんでですか? 王子様みたいなハイスペ男子に愛されたい……って、全女子が一度は夢見るシチュエーションでしょ」
「めぐちゃんも夢見たことあるの?」
「そりゃあ昔は。……なぜちょっと残念そうに見るんですか」

 そっか、男前なめぐちゃんもやっぱり中身は乙女なのね……としみじみ感じた。

 私も憧れなかったわけではないし、そういう漫画も大好物だ。でも、読むたびに思う。自分とは地位や生活環境に差がありすぎる相手との恋は、なんて大変なのだろうと。

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