桃色
すると、ムカツク〜って笑ってたタケルがこんなことを話し出した。


「そういや、こんなこともあったよなぁ〜」

「えっ?」

「ほら、体育の時!!」

「あぁ・・・」

「あの時も俺、大爆笑だったな・・・」


あの時って言うのは・・・。

私達が高校2年の時のこと。

ちょうど、タケルと付き合ってる時だったなぁ・・・。


体育の授業中、私がネックレスをつけていることに気付いた先生が、

「水嶋、ネックレスを外しなさい!」

って言ってきたの。

私は、ずっと肌身離さず着けておくって決めていたから、


「これは外せません!!」

って言ったの。

「いいから、早く、外せ!!」

そう言う先生を無視して私は先生から逃げた。

そしたら、先生は私を追いかけてきて。

私は必死で逃げた。

本気で走って逃げたの。


周りのみんなは私と先生を見て、大爆笑。

その中で、タケルも大爆笑してたな。


そして、私は、授業が終わってから、先生にこっぴどく怒られた。


「あんなに必死な桃子、初めて見たな〜」

「だって、外したくなかったんだもん!!」

「あの時、俺、すっげぇ笑ってたけど、心ん中で泣いてたし・・・」

「えっ・・・?」

「そんなに優士のこと思ってるんやって思ってな・・・」


タケルの悲しそうな顔が私の瞳に映った。



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