平安物語【完】
「女御、私の目を見なさい。」
尚仁様がそう仰るので仕方なく顔を戻しました。
「あなたは、頭の中将をご存知ないのですか?」
怪訝そうにそうお尋ねになりますが、私は
「はい。」
と答えるより他ございません。
「当代随一の美男子で帝のお覚えめでたい、時代の寵児ですよ。
ご存知ないのですか?」
私がきょとんとして首を傾げますと、
「女房達が覗き見して騒いだりしていませんか?」
と更に質問なさいます。