平安物語【完】



その時になってやっと、私は宮様の事を思い出しました。

そして私の心に、醜い嫉妬心が微かに燃え始めたのです。


「先ほど、麗景殿の宮様にお目にかかりました。」

「知っている。」


素っ気ないお言葉に、少しむっと致しました。

「とてもお可愛らしい方でいらっしゃいますのね。

あどけなくていらっしゃる中に、宮様らしい気品もおありで…きゃっ」

意地の悪い私の言葉に、尚仁様は私の脇腹を支えて仰向けになりました。

必然的に私は尚仁様と向かい合う形で宙に浮き、はだけた胸元がとても恥ずかしいことになってしまっています。



< 232 / 621 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop