平安物語【完】
御自身の御懐妊についての言及がないことが何か気になりましたが、きっとご遠慮くださっているのだろうと考え、やはり憎めないと思うのでした。
その時、
「女御様、右大将様がお見えです。」
と声がかけられました。
御子を授かった防衛の本能でしょうか、どうにも会いたくなくて、
「まだ気分が優れませんから、弁に仲介を頼みます。」
と言いました。
喜びに泣き笑いしていた弁は、名指しにされて驚いたようでしたが、万事心得たように引き締まった表情で頷きました。