平安物語【完】
そのうち夜になり、いよいよ苦しみが増してきます。
しかし生まれるまでにはもう少しかかるらしく、この苦しみにまだ耐えなければなりません。
「母体が苦しんでいる時、赤子もまた、生まれようと必死で頑張っているのです。」と乳母にかけられた言葉を頭の中で何度も反芻して、右大将の君の手を握ってもがいていました。
その時、
「帝から御使者が参られました。」
と声がかけられ、部屋に人が入って来るようです。
数人の男の囁き声が聞こえ、父上の気配も感じられました。