平安物語【完】



「お久しゅう存じます。

再びお目にかかれました事、もったいなく存じ上げます。」

へりくだった挨拶をすると、中宮様の微笑みにフッと哀しみが漂いました。


「女御様は、全くお変わりなく…。

老いも、女御様だけは避けて通っておりますのね。」


「とんでもございません…

それに、女御とお呼び捨て下さって結構でございます。」

そんな私の言葉は、聞き流されてしまいました。


「皆、下がってください。」

中宮様が人払いをなさると、部屋には私と中宮様の二人だけになりました。



< 582 / 621 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop