平安物語【完】



「しかし、姫宮を私と会わせるなど御息所殿や左大臣殿が不愉快にお思いになりましょう。

世間の噂にもなりかねませんし…」

―本当に残念だけれど…


すると東宮様は優しい目をなさって、

「あなたはお優しいですね。

しかし私も、宮を前にしたあなたを見てみたいのですよ。

あなたが困ってしまわれないよう、少し考えてみます。」

そう仰って私を抱きしめ、

「早くあなたの子も抱きたい…」

と呟かれました。


東宮様のお顔を見上げて

「私も…あなた様の御子を授かりとうございます…」

と素直に申し上げると、にっこりとお顔全体で笑って

「では、励みますか!」

と仰いました。

お言葉の意味が分からずきょとんとしているうちに組み敷かれて…


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