ストロベリーチョコレート

【愛の話】決まったか？

　行為が終わると純は、煙草に火をすぐにつける。


「決まったか？」
「えっ？あっ！うん」
「こっちに来て、見せてごらん」

　私は、ソファーに座る純の隣に座る。
　純にスマホの画面を見せた。


「あまり、高いマンションだと疑われるから！いいチョイスだな」

　純は優しく頭を撫でてくる。
　純は39歳で、若い頃から人気俳優とモデルという地位を確立している人だ。
　今までは、スキャンダルが沢山あったけれど10年前に妻と結婚してなくなった。

ーーってのは、表向きの話。


「3000万ぐらいなら、愛でも疑われないか？この、2980万なんてどうだ？」
「悪くないとは思う」
「毎月お金をいれるから、好きな場所を選ぶといい」
「どうして？」
「これからは、ここが俺達の愛の巣なのだから、おいで」


　煙草を消した純は、私を強く抱き締めた。


「純、奥さんを裏切っていていいの？あんな、綺麗な人」
「いいんだよ！愛が気にする事じゃない」


　この10年。
　私だってこの関係が悪い事だってずっと思っていた。
　でも、それ以上に何でこの人が私に興味を持ったのかがわからない。



「純、愛してるよ」
「結婚式あげようか？」
「えっ？」
「写真だけだよ！趣味だから、俺が撮ってあげる」
「いつ？」
「うーんと、愛が家を決めてからかな？」
「いいの？」
「いいさ」


　純は、私を抱き締めてくれる。


「そう言えば、欲しいバックがあるって呟いてたね」
「えっ？あれは、別に」
「どんなの？」
「高級だから…….。30万もするし」
「見せてみて」


　言われるままに私は、スマホで検索した鞄を見せる。


「メッセージしてくれ、来月送るから」
「嘘でしょ？」
「嘘は言わない。それと、婚約指輪は、1000万ぐらいがいいかな？妻には、3000万だったけれど。あまり高いものをつけて、愛が犯罪にでもあったら怖いから……。その金額でどうかな？」
「婚約指輪って、どうしたの？急に……」


　純は、私を後ろからギューと抱き締めた。
　そして、肩をハムッと噛む。


「どうしたの？純」
「愛も30歳になったんだろ？」
「そうよ」
「だからだよ。結婚されたら困る」　


　純の涙が肩にポタリと当たる。
　どうして、この人は私を好きなのだろう？　
　結婚しているのに、どうしてこんな言葉が言えるのだろうか？