ヤンキー高校に転入した私

ヤンキー高校に転入した私

私は目の前にそびえる校舎を見上げた。先鋭的で綺麗な校舎だけど、どことなしかおどろおどろしい雰囲気が漂っている。ここは烈蘭(れつらん)高校。この辺りでは有名なヤンキー高校だ。

「私、やっていけるのかな。」

私は今日からこの高校に通う。不安に思いながら学校の門を跨ぎ、下駄箱が並んでいる昇降口に入ると、ヤンキー高校には似つかわしくない温和な笑顔の先生が出迎えてくれた。

「おはようございます、榎本さん。今日からよろしくね。」
「よろしくお願いします。」

先生の後ろについて教室へ向かう。ヤンキー高校というから騒がしいのかと思いきや、校舎の中はとても静かだ。

「朝は静かなんですよ。みんな寝てるからね。」
「そ、そうなんですね……」

静かな廊下を進んでいくと、1組の教室が見えてきた。

先生はガラガラと教室の扉を開いた。教室の中では、先生が言ってた通り半分以上が机に突っ伏して寝ていた。

「おはようございます。みなさん、転入生を紹介します。榎本紗里奈さんです。仲良くしてあげてくださいね。」
「榎本紗里奈です。よろしくお願いします。」

一礼をして頭を上げると、クラス全員から刺すような視線を浴びた。机に突っ伏して寝ていたはずの人も、にょきと首を起こしてこちらをじっと見ている。

「え？女？」
「まじかよ。」
「うち共学だったん？」
「知らんかったわ。」

私の顔を見ながら全員がヒソヒソと話をしている。私は目を動かして教室の中を見回した。どこもかしこも男子ばかり。背中を冷や汗が流れ落ちていく。

（女子が1人だなんて聞いてないんですけどーーー！！）

私は心の中で叫んだ。
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