ヤンキー高校に転入した私

誘惑と告白

昨日は色々ありすぎて全然眠れなかった。

誘拐された恐怖。薫くんが閃爆に行く計画を立てていたこと。そして無視されて嫌われていると思っていた大和くんが命懸けで助けに来てくれて、おんぶしてくれて、学ランを貸してくれて、家まで送ってくれて、その上、告白してしまったぁぁぁ……!

(大和くんにどんな顔をして会えばいいの……!?)

私はそわそわしながら家を出た。すると薫くんはいつもの場所で待っていた。

「おはよう、紗里奈。大丈夫?学校行ける?」
「うん。なんとか……」
「昨日は……寝てないよね。俺も一緒。」

隈がひどいことになっているだろう。薫くんの顔はいつもと変わらないけど、あの後夜通し戦っていたのだろうか。

「昨日、どうなったの?」
「そりゃもうすんごい大騒ぎだったよ。」

薫くんによると、大門寺と満は手下と共に再び攻撃してきたらしい。薫くんが2組の遥くんと3組の翔太郎くんを呼んで、閃爆も仲間を呼び、大所帯で乱闘騒ぎとなったそうだ。

「結局ウチが勝ったんだけど、大門寺は納得いかないって言って、また試合を申し込んできたんだよ。何度やっても同じなのにね。」

なんて粘着な奴なのだろうか。二度と立ち上がれないように、コテンパンにして欲しい。

「閃爆って以前はうちより強かったんだよね。大和が入ってからはうちが勝ち続けてる。だから大和を目の敵にしてるんだ。」

でも薫くんは閃爆に行こうとしていたではないか。そんな私の想いが薫くんに伝わったらしい。

「俺がどうして閃爆に行こうしたのか……知りたい?」
「うん……」

「大和と離れたかったんだ。」

薫くんは切ない顔で笑った。
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