年上男子、全員私にだけ甘すぎる件

Scene 2|笑ってるのに好きが止まらない

 
 その日、学校では「学年交流体育デー」なるイベントがあって、
 2年と3年でペアを組んで体育をやることに。

 

 どうしてよりによって、よりによって、
 私は“陽向先輩とボール投げ”でペアにされてしまったのか——

 
 ボール投げのフォーム練習。
 あの、体育で一番、事故が起きるやつです。

 

 「はいっ、ねねちゃん、こうやって投げるんだよ〜!」

 

 先輩はいつもどおりニコニコで、
 でもフォームが……ちょっと、いや、だいぶ危なっかしい。

 

 「え、肘そっち向いて大丈夫? 足ついてないよ!? それ回転してな——」

 

 \ズシャァァァァッ!!!/

 

 次の瞬間、
 陽向先輩、見事に足を滑らせて横っ飛びで大転倒。

 

 ……そして私、巻き込まれて転倒。
 そのまま、地面に押し倒される形で——

 

 「…………顔、近ッ!!!!!!!!」

 

 仰向けの私の上に、
 陽向先輩が倒れ込んで、鼻先5センチ。いや3センチ。下手したらゼロ距離。

 

 「あ、ああああ、ごめん!!ねねちゃん!!!怪我してない!?!」

 

 「顔が事故です顔が事故です顔が事故です!!!!!!!」

 

 「待って!?それ俺に言ってる!?!?」

 

 「当たり前だわああああ!!人をラブコメ展開で潰すなああああ!!!」

 

 教室中(いや、校庭中)が一瞬静かになって——
 \\\どっっっっっ!!!!///
 笑いの爆発。

 

 「陽向〜〜〜ッ、わざとだろそれー!告白かー!?爆誕かー!?」
 「ねねちゃん、生きてる!?!?気持ち悪いくらい尊い!!」

 

 「ち、ちがう!!これは事故!!純度100%の事故!!!」
 (※言い訳してる人が一番怪しい法則発動中)

 

 

 私の方はといえば、
 笑いすぎて涙出てるし、顔はたぶんトマト色を超えてるし、
 心臓は、**それ、もう恋なんじゃない?**って言ってるし。

 

 でも、事件はまだ終わってなかった。

 

 「ねねちゃん、さ……」

 

 ふいに顔を近づけて、
 でももう笑ってない陽向先輩が、ぽつり。

 

 「今日、最初に声聞けたの、俺でよかった」

 

 「……え?」

 

 「てか、俺に押し倒されたってことは、もう運命でよくない?」

 

 「ちょ、ちょっと待って!急にラブコメのラスボスみたいなこと言わないで!?!?」

 

 「じゃあ、決めとく?」

 

 「なにを!?」

 

 「“ねねちゃんの最初のキスは陽向先輩”っていう都市伝説」

 

 「都市伝説じゃなくて悪夢やーーー!!!!!」

 

 ※このあと私、全力で走って逃げた。
 ※でも笑いながら。

 

 

 ——でもさ。

 

 笑いすぎて涙が止まらないのに、
 陽向先輩の声だけは、
 ちゃんと胸に残ってたんだよね。

 

 ……なんで、あんな顔されたら、
 ドキドキするの、止まんなくなるのかな。

< 14 / 36 >

この作品をシェア

pagetop