イケメン警察官、感情ゼロかと思ったら甘々でした
数日後。
午後からの仕事を終え、少し早めに帰路についた。

曇った空。少し湿った風。
静かなはずの住宅街に、なぜか足音が響いて聞こえる。

(……誰かが、ついてきてる?)

振り返っても、誰もいない。

でも、確かに“いる”と感じる。

喉の奥が詰まり、手のひらがじっとりと汗ばむ。
無意識のうちにスマホを握りしめ、歩くペースを上げた。

アパートが見えたとき、思わず息が漏れた。

(神谷さん……来てくれてたら、いいな)

そんな淡い期待を抱いて、門扉の前に立った。

だが、その日は――誰もいなかった。

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