豹変年下オオカミ君の恋愛包囲網

脅迫

 課長の乾杯の声と共に始まった新人歓迎会は盛り上がりを見せていた。まぁ、新人歓迎会という名の合コンの様相を呈するのは毎度の事だが、今年は気合いの入れ方が違う。何しろ、国宝級イケメンと名高い新人『橘真紘』が参加する飲み会だからだ。
 小洒落たレストランを丸々一軒貸し切って行われる異例の新人歓迎会には、他部署合わせても相当数の参加者が集まっていた。
 はっきり言って本日の主役は間違いなく『橘真紘』だろう。
 国宝級イケメンを狙って集まった多種多様な美女と、おこぼれをもらうため集まったハイエナの如き男達の熱い戦いを横目に鈴香は、腐れ縁の同期である明日香と二人、壁の花となりお酒を楽しんでいた。

「今年の新人歓迎会は異例尽くめよね。レストラン貸し切ってもお釣りが出ちゃうくらい人が集まるなんてね。おかげで、チンケな大衆居酒屋じゃなく、小洒落たレストランで美味しいお酒とつまみにありつけた。神様、仏様、橘様。美味しいお酒と料理をありがとうって感じよね」
「はぁぁ、明日香は気楽で良いわね。何が橘に感謝をよ! 奴の教育係に任命されてからの嫉妬に狂った女達の嫌がらせの数々。撃退にどれだけ苦労したか。それも今日で終わる。じゃなきゃ、今すぐ奴を絞め殺して逃げてやりたいわ」
「あぁぁ、失言でした。まぁ、あれくらいの嫌がらせ簡単に対処出来ると思ったから課長も橘君の教育係を鈴香にしたんだろうけど」
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