転生幼女と宰相パパは最強コンビ
 言葉を発するかわりに、ひぇぇ、ひぇぇとかすれたような声を上げるしかできない。赤子の身体というものは、本当にままならない。
 ぎこちない手が、背中をぽんぽんと叩く。ぐすぐす言っていると、また、ぽんぽんと叩かれた。
 力加減は弱すぎだし、叩くところが全然違う。
 それでも、ミルク以外でこんなに抱かれたのは初めてで、すっかり身体を預けてしまった。
 泣き疲れたのか、空腹と濡れたおむつで気持ち悪いのに、眠気が押し寄せてくる。

「お屋敷に一人走らせました。必要そうなものをマーサさんに用意してもらいます」
「悪いな。私は、マーサに指示を出したらすぐに王宮に向かう」

 頭の上でかわされる会話。
 王宮か。

(……偉い人ってこと?)

 ぼんやりとした目で見上げれば、抱いているのはまだ若そうな男性だ。綺麗な銀髪に、鋭い光を放つ青い目。

「あぅ」

 眠気に負けそうになりながらも、手を伸ばしてみる。触れたのは、なんだかとても触り心地のいい衣服。

「……うぅ」
「おい、よだれをつけるな! って言ってもわからないか……」

 触り心地のいい服に顔を擦り寄せたら、焦った声が降ってきた。
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