【ピュア青春BL】幼なじみの君と、ずっとミニトマトを育てたい。
くれた言葉が嬉しすぎて、お礼を言ったり理由も聞きたかったけど、上手く会話をする自信はなかったからそれだけ言うと踵を返し、リビングへ。アパート前での作業だから、今着てるスウェットのまま外に出られるし、特に準備することはなかった。ゆっくり深呼吸すると気持ちを落ち着かせ、外に出た。
風が少しあって涼しいけれど、今日はこれから暖かくなりそうだ。
畑の前にはミニトマト、きゅうり、アリッサムの、今日植える予定の苗のポットが全て並べられていた。由希くんは畑の前にしゃがみ、こないだ由希くんに返した砂場遊び用のシャベルで、小さな穴を掘っていた。今の由希くんの姿と公園の砂場で一緒に遊んでいた幼少時代の由希くんの姿が脳内で重なる。
「由希くん……」
「えっ?」
下の名前を呼ぶと由希くんは振り返る。
「あ、いや……綿谷、俺は何をすればいい?」
「僕は土に水をやって穴を掘ってるから、光田くんは苗を土ごと穴に入れて、苗の周りの土を軽く固めてほしいのだけど、いい?」
「うん、分かった」
軍手をはめ、言われた通りに作業を進める。すぐに終わった。終わってしまった――。
「あの時、急いで花も買ってしまえば良かったな」
畑全体を見つめながら由希くんは呟いた。
「あの時って?」
「こないだ光田くんと一緒に花屋に行った時にね、ミニトマトの周りに虹色になるように花を並べたいなって思ったの」
「そうなんだ」
「お母さんの車、一昨日壊れちゃってホームセンターまで距離あるしなぁ……カーネーション買ったところまでバスで行くかな……」
頭を掻きながらぶつぶつと独り言を言う由希くん。俺は畑を見る。広さは横2メートル、奥行きは1メートルぐらいだろうか。ど真ん中にトマトが植えられすぐ左にアリッサム、右にきゅうりが植えられている。それ以外には何も植えられていないからかなり空いている。毎年真ん中にまとめてあり、端はガラ空きな感じだ。
「学校向かう途中に、色んな色の花の苗が売ってる店がある」
「本当に?」
「うん、バスの中から花の苗が外にたくさん出ているのが見えてた」
「そこ、遠い?」
目を輝かせながら尋ねてきた。たくさん目立つように店の外に花が並べられていたけれど、由希くんは気がついていなかったのかな。
「自転車で多分、10分ぐらいかな? そんな遠くない場所だし、行ってみる?」
「そのぐらいなら自転車乗っても疲れなさそう。いや、でも、僕、場所分からないし方向音痴だし……」
うつむく由希くん。
「俺と、一緒に……」
「一緒に!?」
様子を伺いながら言うと、下を向いていた由希くんはぱっと顔を上げた。由希くんの勢いに俺は驚きドキッとする。
「いや、嫌だよな? スマホの地図で場所教えるわ」
「い、一緒に……行きたい」
スマホをズボンのポケットから出そうとした時、モジモジしながら由希くんはそう言った。
「分かった、今から行こうか。準備してくるわ」
「うん、僕も準備してくる。自転車でアパート前に集合ね」
風が少しあって涼しいけれど、今日はこれから暖かくなりそうだ。
畑の前にはミニトマト、きゅうり、アリッサムの、今日植える予定の苗のポットが全て並べられていた。由希くんは畑の前にしゃがみ、こないだ由希くんに返した砂場遊び用のシャベルで、小さな穴を掘っていた。今の由希くんの姿と公園の砂場で一緒に遊んでいた幼少時代の由希くんの姿が脳内で重なる。
「由希くん……」
「えっ?」
下の名前を呼ぶと由希くんは振り返る。
「あ、いや……綿谷、俺は何をすればいい?」
「僕は土に水をやって穴を掘ってるから、光田くんは苗を土ごと穴に入れて、苗の周りの土を軽く固めてほしいのだけど、いい?」
「うん、分かった」
軍手をはめ、言われた通りに作業を進める。すぐに終わった。終わってしまった――。
「あの時、急いで花も買ってしまえば良かったな」
畑全体を見つめながら由希くんは呟いた。
「あの時って?」
「こないだ光田くんと一緒に花屋に行った時にね、ミニトマトの周りに虹色になるように花を並べたいなって思ったの」
「そうなんだ」
「お母さんの車、一昨日壊れちゃってホームセンターまで距離あるしなぁ……カーネーション買ったところまでバスで行くかな……」
頭を掻きながらぶつぶつと独り言を言う由希くん。俺は畑を見る。広さは横2メートル、奥行きは1メートルぐらいだろうか。ど真ん中にトマトが植えられすぐ左にアリッサム、右にきゅうりが植えられている。それ以外には何も植えられていないからかなり空いている。毎年真ん中にまとめてあり、端はガラ空きな感じだ。
「学校向かう途中に、色んな色の花の苗が売ってる店がある」
「本当に?」
「うん、バスの中から花の苗が外にたくさん出ているのが見えてた」
「そこ、遠い?」
目を輝かせながら尋ねてきた。たくさん目立つように店の外に花が並べられていたけれど、由希くんは気がついていなかったのかな。
「自転車で多分、10分ぐらいかな? そんな遠くない場所だし、行ってみる?」
「そのぐらいなら自転車乗っても疲れなさそう。いや、でも、僕、場所分からないし方向音痴だし……」
うつむく由希くん。
「俺と、一緒に……」
「一緒に!?」
様子を伺いながら言うと、下を向いていた由希くんはぱっと顔を上げた。由希くんの勢いに俺は驚きドキッとする。
「いや、嫌だよな? スマホの地図で場所教えるわ」
「い、一緒に……行きたい」
スマホをズボンのポケットから出そうとした時、モジモジしながら由希くんはそう言った。
「分かった、今から行こうか。準備してくるわ」
「うん、僕も準備してくる。自転車でアパート前に集合ね」