チャラい社長は私が教育して差し上げます!
「社長、会議の資料が完成しましたので、見ていただけますか?」

「ご苦労様。ちょくちょく見てたから、あれでいいよ。俺の方の打診も問題なかったから、資料を添付して会議の招集通知を3人に出してくれ。cc:で俺にもな」

「承知しました。開発部長の委任状はどうしましょうか?」

「それは俺に任せてくれ。今度工場に行った時、開発部長に署名をもらっておくよ」

「お願いします。では……」

私が立ち去ろうとしたら、

「ちょっと待ってくれ」

と社長は言ったのだけど、何やら言い難そうにしていた。

「何でしょうか?」

「俺、これから出掛けるからさ、悪いけど舞は電車で帰ってくれ」

「どちらへお出掛けですか?」

「私用だから、舞や会社には関係ない」

社長が言った”関係ない”という言葉が、私の胸にグサッと突き刺ささり、次に腹が立った。

「彼女とデートですか?」
「そんなようなものだ」

信じられない! 私は皮肉で言っただけなのに、まさか本当だなんて!

「夜まで待てないんですか?」

「それはだな、相手の都合というか……」

「『明美ちゃん』とですか。それとも『紗耶香ちゃん』か、あるいは『真由美ちゃん』ですか?」

「全部だ」

「全部って、ら……。もう、勝手にしてください。失礼します!」

危うく”ら”で始まる下品な漢字2文字を言いそうになってしまった。でも3人とって、そういう事でしょ? よく知らないけど。

社長は何かを言いたそうだったけど、私はそれに構わずさっさと社長室を出た。そして職場も出て、人目が少ない場所まで行き、ポケットから内線携帯を取り出した。

あ。今朝カードキーを渡されたのは、このためだったのか。喜んだ私って、バカみたい!

私は半べそをかきながら、恵子に電話を掛けた。
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