【番外編】イケメン警察官に2人ごと守られて。
涼介は通常業務に忙殺されながらも、心の奥では静かにある計画を進めていた。
それは、美香奈へのサプライズ――彼女には内緒のまま、特別な思い出を贈るための準備だった。

書斎の机に座り、涼介がパソコンを開くと、画面にはウエディングプランナーとのやり取りのメールがずらりと並んでいる。
どの件名も一見すると業務的だが、その中身はすべて、美香奈にバレないように進められているサプライズディナーの相談だった。

彼は真剣な表情で最新のメールを開く。そこには、プランナーからの丁寧な返信が届いていた。



神谷様、先日はお電話ありがとうございました。
フォトウエディングに追加する形で、ディナーオプションを組み込むことが可能です。
会場は、撮影を予定されている神戸ルミエールスイートホテルのレストランをおすすめいたします。



画面をじっと見つめていた涼介は、一度その文章を読み返し、ふと小さく頷いた。
そして、思いがけず浮かんできたひとつのアイデアに、口元が自然と緩む。

「……これなら、きっと驚いてくれる」

つぶやくように言いながら、彼はすぐに返信メールの作成に取りかかった。
静かな部屋の中、涼介の指先は迷いなくキーボードを叩いていた。
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