【番外編】イケメン警察官に2人ごと守られて。

やさしさへと昇華して

その朝、美香奈はいつもより少し早く目を覚ました。
キッチンで手際よく朝食を作る。卵焼きの甘い香り、味噌汁の湯気。
少しでも涼介の負担を減らしたくて、ささやかな心づもりだった。

「……おはよう」

寝癖を直しきれていない髪を手ぐしで直しながら、涼介がリビングに現れた。
美香奈は、ぱっと笑顔を向ける。

「おはよう! ご飯できてるよ」

「……ありがと」

涼介は、そっけない声で一言だけ言い、
テーブルにつくと、スマホをいじりながら朝食に手をつけた。

──あれ、なんか冷たい。

美香奈の胸に、小さな棘が刺さる。
昨日も帰りが遅かった。
お互い疲れてるのは分かってる。
だけど、今日くらい、ちょっとだけでも──そんな思いが、喉につかえた。

「ねぇ……最近、少しだけでいいから、一緒にいる時間、増やしたいなって思ってて……」

言った瞬間、後悔した。
そんなこと、わがままだって分かってたのに。
今の涼介の忙しさくらい、誰よりもわかってるはずなのに。

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