幼馴染に彼女ができたけどなんで私が嫉妬されてるの?
「いっそ、既成事実作るか」

はい?既成事実?

ドサっ。

蓮の言葉の意味が浸透したときには、なぜか私はベッドに押し倒されていた。
慌てて逃げ出そうとしても、ガッチリと腕を押さえられて身動きが取れない。
目の前には、蓮の綺麗な顔があった。

「ちょ、ちょっと…。こういう冗談マジで止めて。下にお母さんいるし」

あまりに近くて顔を背けた。

「冗談じゃなかったら?」

「え?」

心が動く。
やばい!
だけど、逃げる術なんかなくて。
無理矢理唇を押し当てられた。

「ふ…っ!ん!」

なんとか逃れようともがいても、心が全体重を預けてきて身動きがとれない。
苦しくなって思わず口を開けたら、すかさず心の舌が入ってきた。
やだ…。
そう思っても、貪るように吸い付いてきて、口を閉じることも叶わない。
息苦しくって頭が朦朧として、抵抗する力が出てこない。

や…、いやだよ…。

目の端から涙がこぼれた。
そのとき、心の動きが止まる。
一瞬の隙を見逃さず、足に全身全霊を込めてキックした。
見事蓮の股間にヒット!

「ってーー!!」

私から飛び退く蓮。よっしゃ!
悶絶している蓮に、更に蹴りをお見舞いしてやる。

「いて!沙菜、やめろよ!」

「どの口がそういうこと言うかー!」

蓮は蹴りよりずっと酷いことしたくせに!

「帰れ!!!」

まだ股間を押さえてうずくまっている心を引きずって部屋から放り出し、ドアをバタンと閉めた。

「どうしたの?」

一階からあまりの騒々しさにお母さんが様子を伺う声が聞こえてきた。

「いや、喧嘩です。お騒がせしました…」

「だ、大丈夫!?蓮君?沙菜が暴れたの?」

「大丈夫です。すみません…」

そんな会話の後、玄関のドアが閉まる音が聞こえた。
蓮は家に戻ったようだ。

もう、やだ…。
蓮がわかんない。
勝手に涙がボロボロと溢れてきた。
どうしてこんなことするの?
唇にはまだ蓮の感触が残っている。
それを消し去りたくて、ゴシゴシとこすった。

私は初恋もまだだけど、人並みに恋に憧れを持ってるんだよ。
キスは好きな人と、その人が私を好きになってくれたときにしたかった。
こんな無理矢理じゃなくって、もっと大事に優しくしてほしかった。
大切にしてほしかった…。
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