タイプではありませんが
1.同期の彼
どんな日でも必ず次の日がやってくる。
前の日に恋人に振られ、号泣してパンパンに目が腫れていたとしても。
※
「おは……、山下、どうしたんだ?その目」
オフィスに向かうエレベーターを待っていた楓に声をかけたのは同期の星野だった。
女性としては百六十五cmと高身長の楓と男性としては平均の百七十二cmの星野の目線はほぼ一緒。
だから気付きやすいのはわかる。
だが、出勤前に必死に冷やしてマシになった目を強調しないようにメイクをし、普段からかけているメガネで隠しているのにも関わらず、何故この男は気づくのか。
この目敏さが今期営業成績三位の為せるワザなのか、チクショーめ、と心の中で罵倒しつつも、楓は端的に答えた。
「振られた」
「あー。了解」
地雷を踏んだと察した星野は黙って到着したエレベーターに真っ先に乗り込む。
通勤時間帯のエレベーターだ。奥にいかないと皆が入れない。前の方にいた楓はおのずと星野と並ぶように一番奥へ乗り込んだ。
偶然だが乗り込んだのはほとんどが同じ会社の人だったようだ。押されているボタンは二つ。
楓達のオフィスは上の階だ。
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