極上御曹司からは逃れられない運命でした
♦︎♦︎♦︎

ジャキンと長く伸ばした髪をハサミで切り落とすと、ハラハラと床に無惨に散らばる私の髪。

しんっじらんない。

もーあったまきた。

トイレの鏡の前で自分を睨み付ける。

バンっと音を立てて扉を開けて廊下に出ると、周りにいた子たちは私を見てさぞ驚いた顔をして、腫れ物でも見る様にヒソヒソと話し出す。

それもそうでしょうね。

長かった髪の毛は、今は面影を残す事なくショートヘアになって出てきたんだから。

転校そうそうになんなのよ!

今年で高校二年生。

両親の仕事の関係で幼い頃から引っ越しと転校を繰り返し、ついに海外で仕事をする事になって、私は祖父母の家があるこんな田舎に遥々引っ越ししてきた。

さすがに海外は着いて行く気にならなかったし。

この高校は、この地では一番の進学校で、変な奴などいないと思って油断していた矢先なんとガムを髪に付けられたってわけだ。

ほんっとに。

しかも外だったし、運悪くすんごい強風が吹いて歌舞伎の頭を振る演舞並みに髪が舞い上がってぐちゃぐちゃにくっついた。
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