極上御曹司からは逃れられない運命でした

遥々田舎まで引っ越したとはいえ、元々住んでいた場所からは電車で2時間。

私は学校を抜け出し、電車に乗って慣れ親しんだ街へと向かった。

駅に着いた所で私は電車を下りずに見送る。

やっぱりこのまま都心まで行っちゃおう。

そして慣れ親しんだ街も通り過ぎて、滅多に行かなかった都心まで行って駅を下りて行く当てもなく歩く。

「君可愛いね。どこの制服？」

人が行き交う中サラリーマンに話しかけられた。

私はそれを無視して歩く。

鬱陶しい。

今は虫の居所が悪いからそっとしておいて欲しい。

でも勝手に私の隣を歩くオヤジ。

「おじさんと遊ぼうよ」

遊ぶわけないでしょ。

「パパ活しにきたんでしょ？　君可愛いから三万だすよ」

「はぁ？」

こんなオヤジとご飯なんて行ったら、美味しいご飯も喉を通らないわ。
脂ギトギトで首元にも脇にも汗染みができてる。

眼鏡も指紋だらけだし。

仕事しろ！
そして汗を拭け！

「いたいた！　お待たせ！」

すると急に女性から話しかけられた。

え？

お待たせって、私別に誰とも…

「おじさん、この子私と待ち合わせしてたからさ、やめてくれる？　警察呼ばれたいの？」

そう言ってその女性は笑顔を見せるも目は笑っていなくてオヤジに凄む。

「あ、ごめんごめん。迷子みたいだったからさ」

オヤジはそう言ってそそくさと行ってしまった。