先輩はぼくのもの
危険な年下彼氏
「おはよ、先輩」
「お、おはよう…」
ヤバッ
なんだかすごく緊張する。
昨日の今日、早速デートをすることになった。
家の前で待っててくれた狩谷くん。
「今日の先輩も可愛いです」
んなっ!!
さらっとそんなことを言うんだから!!
会った瞬間からそんなこと言われたらドキドキがもたないよ。
そういえば、翔はそんなこと言ってくれなかったな…
「どこ行きたいですか?」
「あっそうだな…」
わたし、年上だし色々リード出来た方がいいよね。
きゅっ
狩谷くんが手を繋いだ。
「暑いし、水族館とかどうです?」
わたしの心を見透かしてるかのように、優しく寄り添ってくれる。
「うん。行きたい」
年下なのに狩谷くんはとってもスマートで、気づけば水族館のチケットもネットで買ってくれていて、入場もあっという間に出来た。
「お金払う!てか、わたしの方が年上なんだし!ごめんね!」
「いりません」
狩谷くんの顔がわたしの顔に近づく。
かっこいい顔に見惚れてしまう。
「歳なんか関係ないでしょ?」
ドキッ・・・
「ありがとう…」
認めてしまった気持ちは異常な速さで膨らんでいく。
「なにこれ!こんなクラゲ見たことない」
「なんか先輩に似てますね」
「えっ!!失礼過ぎる!!」
「ははっ!可愛いってことですよ」
・・・・・・・
水族館を回っている時間。
もうね
わたしにとっては甘過ぎる時間過ぎて
気絶しそうなんですが。
「イルカのショー見ましょう」
狩谷くんの笑顔を見ると、楽しんでくれてるのかなって思えて嬉しくなる。
んーっと…
この席ヤバイんじゃないかな。
目の前で繰り広げられるイルカショー。
恐らくだけど
イルカが大きく飛び跳ねた。
あ・・・
バシャーッ!!!
あれ…
あんまり冷たくない…?
閉じてた目をゆっくり開けた。
「わっ冷たいなぁー」
狩谷くんがわたしを庇ってくれた。
びしょ濡れなのにすごく嬉しそうに笑って
「楽しいね」
って言うから、胸がきゅんと強く鳴る。
「うん…すごく楽しい」
ーーーーーーーー
「これで拭こ!」
売店で買ったタオルを狩谷くんに渡した。
「先輩先に拭いてください。風邪ひきますよ」
タオルでなぜか押し問答。
「ぼく、もう1枚買ってきます」
あ、やってしまった。。。
タオル買い合いっこって…わたし年上のくせしてなにしてんだ。
「はい。お待たせしました」
「…ありがとう」
なんか…先輩らしいこと?全然出来てない気がする。
「ー…先輩!」
「えっ!はい!」
ヤバッ考え過ぎてなにも聞いてなかった。
「…お土産屋さん、入りません?」
「そ、そうだね!行こう」
なんか…とてつもなく不安なんだ。
狩谷くんがわたしのどこを好きになってくれたのか
とか
年上らしくしなきゃ
とか
じゃあ年上らしさってなに?
とか
今まで一緒にいて考えなかったことが頭にたくさん浮かんできてどうしようもなくなる。
「先輩…ぼくといて楽しくないですか?」
そんな…
「そんなわけないじゃんか!!」
わー・・・
突然大声出したから周りにすごい見られてる。