先輩はぼくのもの
幼なじみってゆーやつ
「わー、ほんとに覚えてないんだ?ショックー」
りゅ、りゅうや……
りゅうや
リュウヤ
龍…弥……
「あ!!!泣き虫の龍弥!?」
「それー!!って、余計なことまで思い出さんでいいわ!!」
うわー!
小学4年生になる前に引っ越した龍弥。
その頃家も近くて言うならば…
「先輩、この人は?」
「あ!えっとね、幼なじみ…になるかな。10年ぐらい前に引っ越しちゃったんだけどね」
「へぇ〜」
ほんとに久しぶり過ぎる。
昔は小さな泣き虫の男の子って感じだったのに
今は全然違う。
背も高くて、ガッチリしてる感じ?
きっと狩谷くんより背が高い。
「イメージ変わっただろ?」
「うん。もう泣き虫のイメージは全くないね!」
「うるせー。詩は変わんないね」
「それ褒めてる!?」
「褒めてるよ」
そう言って龍弥がわたしの頭を撫でた。
パシッ
「触んないでください」
龍弥の手を狩谷くんが掴んで退けた。
「…詩、コイツは友達?」
「えっとねー…「彼氏です」
わたしの言葉を遮るように狩谷くんが言った。
「ふーん、そっか。イケメン彼氏だねー」
今度は狩谷くんの頭をポンポンッと撫でる龍弥。
「やめてください」
そんな龍弥の手をまた払い退けた狩谷くん。
「あのね狩谷くん。この人は幼なじみの龍弥。わたしの2つ上だから…狩谷くんの3つ上だね」
「詩、年下彼氏かよ!やるなぁ〜」
「うるさい!てか、龍弥なんでここに?」
10年以上振りだよ!?
連絡先もわからないままだったのに
「同窓会とか予定あった!?」
「ぶはっ!!なにそれ!!」
わたしの発言にお腹を抱えて笑ってる龍弥。
「相変わらず可愛いな、詩は」
んなっ!
龍弥はこんなことを言うタイプでもなかった!!
「先輩…バイト遅れるよ?」
狩谷くんの言葉でハッとして、急いでスマホを見る。
「ごめん、龍弥!またね!」
「はいは〜い。彼氏くんもまたね」
狩谷くんは返事をせず、わたしと一緒に走ってバイト先に向かった。
・・・・・・
バイト中。
うーーん
狩谷くんのあの反応、、、
帰りにちゃんと龍弥のこと説明しなきゃね。
バイト中も狩谷くんのことで頭がいっぱい。
またなにか不安にさせてたら嫌だし…
も、もし!!
自惚れだけどヤキモチとか妬いてたら…
ヤキモチとか妬くことじゃないって伝えたいし
「あのー、レジしてもらえます?」
ハッ!!!
「すみません!!」
いけない
仕事に集中しなきゃ!!
・
・
・
「お疲れ様」
「迎えに来てくれてありがとう」
帰り道
狩谷くんからは龍弥の話をしてこない。
もしかして
なにも気にしてないとか!?
それなのにわたしが話したら
は?って感じだよね!?
「ー…ぱい、先輩?」
「えっ!?はい!」
いけない、また考え過ぎて自分の世界に入っちゃってた。
「…なんか悩み事?」
わたしが不安にさせてどうする!!
「あ、ううん。なにもないよ」
「ならいいけど」
狩谷くんが気にしてないのなら、わざわざ掘り返して話すことじゃない。
「狩谷くん、ご飯食べた?」
「先輩と食べたいからまだ」
えへへ、嬉しいな。
「なに笑ってるんですか」
「待っててくれて、一緒に食べれるの嬉しいなと思って」
次の瞬間、狩谷くんがチュッと軽くキスをした。
「か、狩谷くん!外だから!人とかいたら!!」
「先輩が可愛いこと言うからですよ」
舌をべっと出して笑う顔もかっこよくてときめく。
この生活がずっと続きますように
そう願わずにはいられない。
「……へぇ〜…」
その場面を龍弥に見られていたとも知らず。