先輩はぼくのもの
ジェンガ
今、なんてー…
ガチャッ
「ただいま〜。ごめんねー遅くなっちゃって」
お母さんだ!!
龍弥がわたしから離れてお風呂に向かった。
「あらっ詩お風呂入ってたの?龍弥くんは?」
「今お風呂に向かったよ」
なに、この鼓動。
ドキドキうるさい。
さっき龍弥が言ったことって。。
ーーーーーーーーー
「おはよ」
「…おはよ」
次の日の朝、龍弥も1限からなのかリビングで朝ご飯が一緒の時間になった。
わたしはどう接したらいいのか、、そもそもあの言葉はなんだったのか、、そんなの考えだしたら寝れなくなって寝不足で今も戸惑ってるのに…
なんだ、この普通の態度は。
なんかちょっと腹立つぐらいに普通。
やっぱ深い意味なんてなかったんだ
気にしなくていいや
そんな風に思って玄関のドアを開けた。
「詩先輩、おはようございます」
「想汰くん!おはよ!!」
家を出ると想汰くんが待っていてくれた。
うん、深い意味なんてないない。
龍弥、なんだか様子もおかしかったしなにか悩んでるんかも。
今晩あたり、なにかあったのか聞いてみよう。
チラッと想汰くんを見る。
ん?って顔でわたしを見る。
わたしは「なにも」と言ってニコッと笑った。
想汰くんと龍弥、やっぱり仲良くなってほしい。
パシッ
いきなり背中を叩かれた。
「詩!先に行くなよ。一緒に行こうと思ってたのに」
「龍弥!」
背中を叩いた犯人は龍弥だった。
「彼氏くん、おはよ」
「…おはようございます」
わぁ〜空気が一気に重くなった。
「詩、昨日言ったこと本気だから」
え!?
わたしは俯かせていた顔を急いであげる。
「ちゃんと考えてね」
「りゅうー…!」
わたしが呼ぼうとしたのを振り切って先に行ってしまった龍弥。
昨日のことって…絶対あれだよね?
「先輩」
ドキッ
想汰くん、絶対なにか変に思ったよね!?
なんて言おう…
「学校行きましょ?」
そう言って手を繋いでくれた。
あれ?
なんだか意外で少し驚いてしまった。
結局あれから想汰くんはなにも聞いてこなかった。
他愛ない話をして気づけば大学に着いていた。
授業中、頭の中をぐるぐるまわる龍弥の言葉。
龍弥がわたしを…好き!?
信じられないけど、、本気って言っていた。
からかわれたってことじゃないんだよね…?
なら、わたしが出す答えはひとつだけ。
「あれ?詩、なんでこっちにいるの?」
放課後、法学部がある棟にやってきた。
もちろん、龍弥と話をするため。
「話があるんだけど少しいい?」
「えーいい話?」
わたしの返事をわかってるかのようにちゃかす龍弥。
「大事な話だよ」
龍弥は頭を掻きながら「わかったよ」と言って歩きだした。
ガラッ
「ここなら誰も来ないと思う」
キョロキョロと周りを見渡す。
「はは!詩、なにキョロキョロしてんの」
ハッ!!
この棟に来たことないから、つい色々気になって周りを見てしまっていた。
「ご、ごめん!」
「なにそれ、別に謝ることじゃねぇし」
ギシッー…
龍弥が椅子に座った。
「それとも、それが昨日の返事?」
ドクンッ
さっきまで笑っていた龍弥が真剣な表情になった。
ちゃんと…言わなきゃ。
龍弥
もう会えないと思っていた、大切な幼なじみ。
大好き
だけどね、龍弥の気持ちには応えられない。
もし、そう言ったら龍弥は離れちゃうのかな?
また会えなくなるのかな。
正直、そう考えると怖くて悲しい。
でも、その気持ちよりももっともっと大切な気持ちがあるから。
だから、ちゃんと伝えたい。
「龍弥、昨日のこと…正直ビックリしたし今も信じられない気持ちもあるんだけど…」
なにも言わずわたしの話を聞いてくれる。
「わたしのこと、そんな風に思ってくれてるのは嬉しかったよ…でもね、ごめんなさい」
「…なんで謝んの?」
「わたしは想汰くんが好きだから。龍弥の気持ちには応えられない」
「俺の気持ち、まだちゃんとわかってないだろ?」
立ち上がってわたしのそばにやってきた。
「俺がどれだけ詩のこと好きかわかってから返事してよ」
ダメ、ここで流されちゃ。
「変わらないよ。想汰くんが好き」
大切なひとを傷つけたくない。
「龍弥のことは好きだけど、それは幼なじみとしてで恋愛じゃないの」
目を逸らさず、ジッと龍弥を見る。
お願い、わたしの気持ち伝わって。
「ふーん」
わたしのそばから少し離れた龍弥。
「詩、絶対傷つくぞ?」
え…?
「どういう意味…?」
「俺、諦めないから」
そう言って龍弥は部屋から出て行った。