恋慕~再会した強引御曹司に甘く囚われて~
五十嵐家がひとり娘を俺の伴侶にするため、画策していたのは知っていた。

五十嵐家だけではない。

俺の外見や肩書だけを見て、縁談を申し込む家は後を絶たなかった。


だが、俺が想いを寄せるのは眞玖だけだ。

それを周囲に知らしめるため、半ば強引に婚約者にした。

与えられた地位が今の俺にはまだ相応しくないと考えている輩が周囲に多いのも知っていた。

だからこそ帰国後は精力的に仕事をこなし、実力と結果を示したかった。

親友も似たような重責を背負っているのに、逃げだすわけにはいかない。

自信がないなどと言ってられない。

会社を守るのはもちろんだが、なにより眞玖を守り抜く力が欲しかった。

なかなか会う時間を作れず、寂しい思いをさせているのもわかっていた。

けれど仕事好きでしっかり者の眞玖なら、きっと理解してくれるだろうと高をくくっていた。

眞玖はいつだって俺を一番に考えてくれていると、傲慢にも思い込んでいた。

だから、眞玖が五十嵐の後継者とともにいる姿に嫉妬し、俺の婚約話を知っても動揺を見せない姿にイラ立った。

さらには自分の余裕のなさにも腹が立ち、八つ当たりのような鬱憤すべてを眞玖にぶつけた。

年齢を重ね、渡米して経験も積み、それなりに大人になったと思っていた。

感情もコントロールできると自負していたのに、眞玖の前ではただの情けない男に成り下がっていた。
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