恋慕~再会した強引御曹司に甘く囚われて~
それから数日経った週末の夜、匡からメッセージが届いた。


【明日、デートしよう】


素っ気ない一文を食い入るように見つめる。

連絡のない匡が心配で電話をするか、少しだけでも様子を見に行こうかと考えていた矢先だった。


【仕事は大丈夫なの?】


【平気。明日、十時に迎えに行くよ】


すぐに返されたメッセージを読んだ途端、急いで匡に電話をかけた。


『眞玖から電話がかかってくるなんて珍しい』


「あ、あの、明日ってどこか行き先は決まっている?」


数日ぶりに耳にする低音に心が甘く疼き、鼓動が速まっていく。

余裕をなくしていたせいで挨拶や前置きもせず、質問を口にしてしまった。


『水族館に行かないか? 久しぶりだし、以前行きたいって話してただろ』


そこは学生時代に何度か三人で遊びに行った思い出の場所だった。

言われてみれば、ずいぶん前にそんな話をした記憶がある。


「覚えていてくれたの?」


『当たり前』


端的な返答に、胸が切なく締めつけられる。

どうしてこうも簡単に私の心を揺さぶるのだろう。


「じゃあ、駅前で待ち合わせを……」


『いや、迎えに行く』


「ううん、たまには待ち合わせしない?」


疲れている彼に負担をかけたくなくて、早口で提案する。

訝しみながらも、最終的に匡は了承してくれた。


『じゃあ明日。おやすみ、眞玖』


「おやすみなさい」


通話を終えた後、様子を見に行くため準備していた服を奥へ押しやり、もう一度吟味しなおしたのは内緒だ。
< 97 / 156 >

この作品をシェア

pagetop