二人で恋を始めませんか?
「部長、そろそろ出発してもよろしいでしょうか?」
 ランチを挟んで午後の業務が始まると、茉莉花がバッグを肩に掛けてデスクまでやって来た。
「ああ、分かった。すぐに準備する」
「はい、よろしくお願いします」
 パソコンをシャットダウンしてから、ハンガーに掛けてあったジャケットを着る。荷物をまとめると小澤に声をかけた。
「それでは行ってくる」
「行ってらっしゃい。帰りは直帰ですか?」
「直帰……」
 優樹は思わず口ごもり、茉莉花を振り返る。
「清水さんは直帰だよな?」
「いえ。帰社するつもりですが」
「いや、直帰にしなさい。間に合わなくなる」
「えっと、何に、でしょうか?」
「言わなくていい」
「はあ……」
「ほら、早く行こう。打ち合わせも巻きで終わらせるぞ」
 首をかしげる茉莉花を促して、足早にオフィスを出た。
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