魔法使い時々王子
第十二章 異風の王子と微かなときめき
「舞踏会のことを考えていたのですね」
翌朝、控えの間で紅茶を口にしたアリスに、レイが穏やかに問いかけた。
アリスはカップを持つ手をわずかに止める。
「……どうして?」
「顔に出ていました」
レイの声に、舞踏会の光景がよみがえる。
ルーサの奇妙で自由なステップ、そして自分に向けられた「君」という声。
胸が少しだけ高鳴ったのに、結局、彼と踊ることはなかった。
「……私、断ったわけじゃないの。ただ……」
「ただ?」
「……踊れなかったの」
レイは静かにアリスを見つめる。
彼女自身が言葉にできない迷い――その背後に、誰の影があるのか。
失礼な言い方かもしれませんが……アリス様がルーサ王子を気になさるとは思いませんでした」
レイは淡々と告げたが、その眼差しはどこか探るようだった。
アリスは小さく息を吐き、カップを置く。
「……そうね。私自身、少し驚いてるわ」
舞踏会の記憶が胸をよぎる。
「なんだか王子っぽくないの。立場やしきたりなんて気にせず、自由に振る舞っていて……」
言葉を探すように間を置き、アリスは続けた。
「私と違うからかもしれない。素直で、壁がなくて……あの人の前だと、不思議と安心できるの」
アリスの言葉にレイは少し黙り込み、そして優しい笑顔を向けた。
「……ですが、アリス様にはアリス様にしかない強さがあります。そのことを、どうかお忘れなきように」
「……ありがとう、レイ」
翌朝、控えの間で紅茶を口にしたアリスに、レイが穏やかに問いかけた。
アリスはカップを持つ手をわずかに止める。
「……どうして?」
「顔に出ていました」
レイの声に、舞踏会の光景がよみがえる。
ルーサの奇妙で自由なステップ、そして自分に向けられた「君」という声。
胸が少しだけ高鳴ったのに、結局、彼と踊ることはなかった。
「……私、断ったわけじゃないの。ただ……」
「ただ?」
「……踊れなかったの」
レイは静かにアリスを見つめる。
彼女自身が言葉にできない迷い――その背後に、誰の影があるのか。
失礼な言い方かもしれませんが……アリス様がルーサ王子を気になさるとは思いませんでした」
レイは淡々と告げたが、その眼差しはどこか探るようだった。
アリスは小さく息を吐き、カップを置く。
「……そうね。私自身、少し驚いてるわ」
舞踏会の記憶が胸をよぎる。
「なんだか王子っぽくないの。立場やしきたりなんて気にせず、自由に振る舞っていて……」
言葉を探すように間を置き、アリスは続けた。
「私と違うからかもしれない。素直で、壁がなくて……あの人の前だと、不思議と安心できるの」
アリスの言葉にレイは少し黙り込み、そして優しい笑顔を向けた。
「……ですが、アリス様にはアリス様にしかない強さがあります。そのことを、どうかお忘れなきように」
「……ありがとう、レイ」