自爆しないで旦那様!
高確率で自爆する、とラズが言っていた通り、エミリオは最初から自爆する気でいたらしい。
ラズが気づいて自分が気づかなかったことに、リーシャはどうしてかモヤモヤした。
「けれど、時間かせぎに彼らと話をしているうちに、貴女が……見逃す約束だった貴女が、殺されると、知ってしまったんです。今頃、外で始末されていると、あの男は事も無げに言いました」
エミリオがギリリと奥歯を噛み締める。
「今この瞬間に、貴女が殺されているかもしれない。貴女の死を想像して僕は、怒りの感情に一瞬で支配されたんです。そして気づいたら……自分で自爆のスイッチを、入れていました」
彼は脱力した。
そして再び己を嘲笑う。
「どうですか……?これでも僕は、貴女を守ったといえますか?」
いえないだろう。
そう、答えを期待するエミリオに、リーシャはムッとした。
「その質問はヒドイよ。私が守ってもらったって思ってるんだから、貴方は私を守ったの。それでいいじゃない」
それでいいのか。そんな単純なことで。
エミリオの頭の中で反発する言葉が生まれる。
しかし、リーシャからもらった言葉に、泣きたいくらい安堵している自分もいた。
「その言葉を聞いて……少し、救われました。ありがとうございます。僕の突発的な自爆に、貴女を巻き込んでいなくて、本当に良かった……」
「……言いたいこと、言っていい?」
「どうぞ」
「エミリオのバカ!最初から自爆しようと思ってたなんて……!そんなことしなくても、もっと他にも、やり方はあったかもしれないじゃない!」
罵倒されたはずなのに、それがなぜだか心地よくてエミリオは苦笑する。
「すみません、リーシャ」
「べつに、謝ってほしいわけじゃ……」
「僕は、貴女が好きです」
「へっ……!?」
突然の告白に、リーシャはポカンとした間抜け面でエミリオを見てしまった。
そんなリーシャの手にそっと自分の手を重ね、エミリオは囁く。