自爆しないで旦那様!
どうやら冗談だったようで、エミリオは呆れまじりの吐息をこぼした。
「ルイ、からかわないでください。貴方は昔からそういうところありますよね。こちらが真面目に話しているのに茶化すような言葉を選ぶ。貴方の悪癖です」
「相変わらず手厳しい物言いだね。リーシャ、エミリオに虐められたらすぐ別れなさい。これはジョークじゃないよ?」
念を押しつつも、ルイは満足そうにエミリオを見る。
「まあでも、エミリオとなら大丈夫かな。これがラズだったら決闘していたところだよ」
「はぁ?難攻不落の守備型と決闘?それ決着つかなくない?」
「そうだね。つける気ないから。ラズは永遠にリーシャとお付き合いしなくてよろしい」
「理不尽!俺にだけ!イジメだ!訴えてやる!」
「ラズりんは日頃のおこないが悪いのよ。女の子にはもっと優しくしないとダメだとマリーちゃんは思うわ」
「えー、俺の紳士っぷりを誰も信じてくれないんだけどー。なんで?」
「それこそ日頃のおこないだと思いますが。それはそうと、そろそろ出掛けませんか?明日の朝くらいにはオーチェを救出して戻りたいんですが」
エミリオの言葉に、おふざけモードだったラズが目つきを変える。
ラズは真面目な顔で答えた。
「そうだな。エミリオくん、また空間転移魔術使える?」
「研究所の近くになら転移可能です。あそこの内部は空間転移避けの魔術が施されているので、直接侵入はできません」
「魔術で侵入できなくてもネズミが入れる穴は知ってる。着いたら俺が案内してあげるから、エミリオくんマリーちゃん、遅れんなよ?」