自爆しないで旦那様!
エミリオにツッコミを入れつつ、青い瞳に戻り落ち着いてきたマリーからラズが離れる。
そして彼は拘束された研究員達にゆっくりと近寄った。
「さて、と。君達ちょっといいかな〜?聞きたいことがあるんだよね。バスティアンくんの研究室ってどこかな?」
柔らかな声で問い掛けるも、研究員達は恐怖のせいでガタガタと震えている。
ラズと目が合った一人が上擦った声を出した。
「し、知らないっ」
「いやそれは嘘でしょ。同じ研究所で働いてて知らないは無理があるって。つくならもう少しマシな嘘をつきなよっと」
喋り終わるのと同時に喉を掻っ切る。
知らないと答えた研究員はラズのナイフにより血塗れになった。
「さて……。しらばっくれたり、嘘ついたらこうなるってわかっただろ?もう一回聞くよ?バスティアンくんの研究室はどこ?」
「ひっ、ひぃい……!!」
「こ、この先の廊下を真っ直ぐ行って、右に……!そ、そしたら、部屋があるからっ」
「ふーん。俺の調べとおんなじだ。やっぱそこか」
ラズが一人で納得し、再びナイフを構える。
「ありがとさん。死んでいいよ」
冷たい声と無様な悲鳴。
拘束した研究員を皆殺しにしてから、ラズは普段と変わらない笑みを浮かべてエミリオとマリーに向き直った。
「んじゃ、行きますか」
初めから、ひとり残らず殺す気だった。
ラズならそうするだろうと予想していたエミリオは、当然の結果にただ頷くのみ。
そのまま後ろを振り返ることなく、三人は奥へと真っ直ぐ伸びる廊下を駆けた。
ビーッビーッ!ビーッビーッ!
突如、やかましい機械音が響き渡る。
走りながらマリーは周囲を見回した。
「なにかしら!?」
「防犯システムっしょ。確かここのは攻撃型で、横からビーム撃ってくるから……って、うお!?」
言い終わる前に天井からバシバシと魔術の光が攻撃を仕掛けてくる。
予想外の方向から狙われ、ラズは少々焦った。
「げっ、前とシステム変わった!?なんか上から狙い撃ちされてるんだけど!」
「防御します!僕から離れないでください!」
頭上からの攻撃をエミリオが魔術で弾き返す。
それらは壁や床に当たって、いくつも穴を開けた。
「ラズ!目的地はまだですか!」
「もうちょい!あそこを右だ!」