(改稿版)小児科医の恋愛事情 ~ 俺を選んでよ…もっと大事にするから ~
「・・私」

「うん」

「・・私・・も」

「うん」

「・・西島先生を、好きに・・なりました・・」


彼女が俺の腕の中で顔を上げる。

「・・っ」

マズイだろ・・。
止められるか?

キスしたい衝動をクールダウンさせるために、俺は彼女の視線を外すように横を向いた。

「西島先生・・?」

彼女と視線を合わせたら、きっと止められない。

それなのに。
背伸びした彼女の唇が、一瞬だけ俺の唇に触れた。

え・・?

「あ・・・・あの・・」

そうつぶやいた彼女に、俺は先を越されたと思いつつも包む腕を離すことはしなかった。

「いくら通りに面していないとはいえ、マンションの前でこんなことして平気かな」

「あ・・」

「僕は、キスは我慢したよ」

「・・・・」

困った顔も可愛い。
俺は腕に力を込め、耳元でささやいた。

「もう少しだけ一緒にいてもいい? さすがにこのタイミングで、また今度・・っていうのは寂しいと思うから」 

想いが通じたのが嬉しくて、離れがたかった。
彼女も同じように思ってくれたのか、『私も』と微笑んだ。

「んー、どうしたらいいかな・・。僕の家にと言いたいところだけれど、平嶋さんが困るだろうし。かといって平嶋さんの家に行くわけにも・・」

そんな俺を見て、彼女がふふっと笑った。

「西島先生、もし良ければ、このままうちに来ませんか? 何も無いですけど、お茶くらいなら」

お茶くらい・・じゃ済まないよな。
でも、俺たちは大人なわけだし・・。

葛藤しつつ、一緒に彼女の家に向かった。



< 24 / 120 >

この作品をシェア

pagetop