(改稿版)小児科医の恋愛事情 ~ 俺を選んでよ…もっと大事にするから ~
インターホンを鳴らすと、パジャマとメガネ姿の彼女が出迎えてくれた。

「ごめんね、遅くなって。茉祐ともう少し一緒にいたくて、連絡してしまった」

「少し前まで仕事してたから、全然大丈夫。あれ・・スーツはどうしたの?」

「ああ、ロッカーに着替えが置いてあるから、シャワー浴びてそっちを着てきた。もういつでも寝れるよ」

「じゃあ、もう寝ようか。疲れたでしょ」

リビングも照明が落とされていて、その奥の部屋に入る。
セミダブルのベッドと、その横に同じサイズの分厚いマットレスが置いてあり布団がセットされていた。

「誰か泊まりに来るの?」

何の気なしに尋ねる。
同じベッドで寝ようとは思わなかったけれど、こんなふうに、しっかり準備されているとも考えていなかった。

「うん。最近は無いけど、前は翻訳仲間が来たりしてた。別々に寝た方が、祐一郎も疲れなくていいかな・・と思って準備したんだけど・・」

「俺は・・・・茉祐と一緒でも・・。あ、もちろん茉祐が嫌じゃなかったらだし、その・・さすがに今夜は、そういうことはしないつもりだし・・」

「私も・・あの・・嫌じゃない・・」


俺はベッドに腰掛け、彼女を引き寄せて両足の間に後ろ向きに座らせた。
そのまま、彼女の背中側から包み込むように抱きしめる。

「ふふ・・あったかくて眠くなってきた・・。寝ちゃいそう、私」

「俺も・・。茉祐のこと抱きしめたまま寝てもいい?」

ゴロン、と抱きしめたままふたりで横になる。

かすかに彼女の『おやすみ』が聞こえたような気がしたけれど、俺はあっという間に眠りに落ちていった。



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