君の隣が、いちばん遠い
家に着いて、部屋の明かりをつけて、制服を脱いだ。
ひとりきりの食卓で、コンビニのサンドイッチを食べる。
その奥のリビングでは、美帆の笑い声と、テレビの音が聞こえていた。
その音が、どこか遠くに感じられる夜だった。
ふいに、スマホを見つめてみても。
誰かからのメッセージなんて、来ていない。
だけど、ほんの少しだけ、期待してしまう。
——また、ひとりのつもりだったのに。
胸の奥に残る「またな」の声が、今日の静けさをほんの少しだけやわらかくしていた。