君の隣が、いちばん遠い
すると、一ノ瀬くんがふいに立ち止まる。
そして、首元に巻いていた自分のマフラーを外し、わたしの肩にそっとかけた。
「えっ……?」
「寒いって言わなくても、分かる」
マフラーの端がふわりと首元に触れた。
わたしの目が大きく見開かれる。
「……あ、ありがと……」
声が震えるほど、心臓が跳ねていた。
その瞬間、少し後ろを歩いていた紗英ちゃんと柊くんが同時に立ち止まる。
「今の……なに!?」
「えっ、なんかすごいシーン見た気がする!!」
ふたりは顔を見合わせ、同時に騒ぎ始めた。
「え、え、付き合ってるの!?」
「マフラーで告白!?ってこと!?うわあー!!」
「ちょ、違うから! そんなんじゃ──!」
わたしが慌てて否定しようとするが、真っ赤な頬は説得力を持たない。
「ねぇひより、すっごく可愛いんだけど……」
紗英ちゃんはその様子を見て、にやにや笑った。