君の隣が、いちばん遠い
「分かりやすい……すごいね、白石くん」
「そりゃあ、理系コースだしな。まあ、これでも成績じゃ一ノ瀬に勝てたことないけど」
彼の名前が出て、少しだけ胸がざわつく。
でも白石くんは、それ以上一ノ瀬くんのことを話題にすることなく、再びペンを動かし始めた。
その横顔を見ながら、わたしも黙ってノートに向かう。
同じ空間にいても、違う場所を見ているような不思議な距離感だった。
数日後。
朝早くに目を覚まして、制服ではない服を選ぶ。
今日はオープンキャンパス。
ひとりで、ある大学へ行く予定だった。
目的は「なんとなく」。志望校でもなければ、学部すら決めていない。
それでも、気がつけば選んでいたのは教育学部のある大学。
自分でも、なぜそこに惹かれたのかはうまく説明できなかった。
電車に揺られて、キャンパスに着く。
広い敷地と高い校舎。
真新しい建物の中、案内の学生たちが笑顔で迎えてくれた。