君の隣が、いちばん遠い
「前よりも……なんていうか、柔らかくなった。話しかけやすいっていうか」
「そうかな……?」
「うん。きっと、彼氏さんのおかげかな~?」
からかうように笑いながら、美帆ちゃんがピースしてくる。
「もぉ……!」
靴を履きながら、顔が熱くなるのを感じていた。
塾の授業が終わった。
今日は一ノ瀬くんと予定が合わなかったから、もう少し勉強をしてから帰ろうと思っていた。
休憩スペースで一息ついていると、声をかけられる。
「佐倉さん」
白石くんだった。
「お、今日も頑張ってたな。……これから自習室だろ?今は休憩中?」
「ありがとう。そう、今休憩中」
あれからも、白石くんとは塾内で話すことには変わらない。
でも、一ノ瀬くんに嫌な思いをさせたくないから、わたしからは話しかけないことを心掛けている。