君の隣が、いちばん遠い
その表情は、いつもの軽口をたたくときのものとは違って、どこか緊張しているように見えた。
「……一ノ瀬、悪いけど。少しだけ、佐倉さんと話せないかな」
その言葉に、遥くんがわたしを見る。
問いかけるような視線。
わたしは、こくんと小さく頷いた。
「わかった。あそこの自販機のとこで待ってる」
彼は少しだけ間をおいて、歩いて離れていった。
白石くんとふたり、塾のビルの横にある駐輪場のそばに並ぶ。
人の気配は少なく、どこか切り離された空間のようだった。
「……なんか、急にごめん」
「ううん。びっくりしたけど、大丈夫」
わたしがそう言うと、白石くんは深く息を吸い、ゆっくり吐いた。
「今日でお互い塾最後だからさ、けじめっていうか、伝えておきたくて」
「……うん」
「去年、それっぽいこと言っちゃったから、気づいてると思うんだけど」