ホワイト・サマー・エンド
一番近いバス停から病院までは、歩いて数分もかからない。
静かな道の小さな雑貨屋のショーウィンドウに、俺はふと目を留めた。
おしゃれな服や装飾品がたっぷりと飾られている中に、控えめに主張する小さなハンドクリームがあった。
「これって…」
思わず声に出す。
そして俺は静かに、小さなベルの鳴るドアをくぐった。
数分後に出てくるときには、中学生男子には似合わぬようなこじゃれた紙袋を片手に持っていた。
この中には当然、あのハンドクリームがある。
左手にはテスターをした柑橘系の残り香がまだわずかに残っていた。