ホワイト・サマー・エンド
楽しい? ―――ああ、衣都と水鉄砲したときか。
嬉しい? ―――ああ、衣都に誕生日プレゼントをもらったときだな。
怒っている? ―――ああ、怒りっぽい俺を衣都がいつもなだめてくれたっけ。
悲しい? ―――ああ、衣都が余命宣告されたときは馬鹿みたいに悲しかった。
衣都がいなくちゃ、感情などあってないようなものなのだ。
やっと、それに気づいた。
衣都の棺の前に立つ。
衣都はまるで眠っているかのような表情でそこに横たえられている。
…衣都って、こんなに寝相が良かったっけ。
…衣都って、こんな表情をして眠るっけ。
衣都の表情はなく、静かにただ粛々とそこにあった。