禁断の恋〜グラジオラス〜

恋敵、宣戦布告

シオンくんが好きだと自覚した僕はシオンくんの隣は誰にも渡さないとひたすらシオンくんにベッタリとくっつき、抱き寄せる。

そろそろお昼休み、ショウが来る頃だ。

「シオ〜!」

案の定ショウが来る。

「ショウ…なんだよその顔」

「いや?随分と仲良くしてんなーって」

「え?嫉妬?」

「いや?嫉妬じゃねーし!それより、お昼一緒に食べようぜ」

ショウがシオンくんの隣に椅子を持って来る。

「なんで横一列になってんだよ。ほら、正面空いてるぞ」

「じゃ、お邪魔しますよーっと」

シオン正面に椅子を持って来てショウはシオンくんのお弁当から卵焼きを奪っていく。

「ったく、自分のにも卵焼き入ってるだろ?何で俺の卵焼き奪うんだよ」

「だーってシオの所の卵焼き超うめーんだもん」

「ショウの所の卵焼きだって普通に上手いだろ…ったく」

なんだがふたりの世界を間近に感じて複雑に思っているとシオンくんが声をかけてきた。

「ごめんな、ショウのやつの相手ばっかで…つまんないだろ?ほら、ショウ!謝れよ」

「えー…まぁ、ごめんなー」

渋々ショウの奴も謝ってきた。

「ううん、大丈夫だよ」

「…なら、いいんだけど」

「なー!そんなことより今日の放課後はシオん家で時間潰していー?」



え!?家?!もう家に上がって過ごす仲なの?



「今日はダメ」

「…あの人、来んの?」

「あぁ、だから早く帰らなきゃ」

何が帰って来るんだろう?聞いてもいいのだろうか?

「今日、何が帰って来るの?」

「母さんだよ」

「コイツん家、父子家庭なんだけど、月一で会ってんだよな?」

そう言うショウの表情がどこか誇らしげに見える。

「あぁ」

「そうなんだ…」



何でショウはシオンくんの家庭の事情まで知っているの?



ふたりの関係は何?



僕はそんなモヤモヤを抱えながら昼休みを終えた。
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