禁断の恋〜グラジオラス〜

戦意喪失

シオンくんに告白をし、見事に振られた僕はあれから部屋に引きこもり学校へは行かなくなった。

父さんも母さんも心配はしつつも、お互いに今は干渉すべきではないと判断したのだろうか何も詮索をしないで居てくれる。

それだけが救いだ。

スマホからピロンとメールを知らせる音が鳴る。

「…」

シオンの名前が通知欄に並ぶ。

『ごめん』、『友達として』、『さようなら』、『ショウと付き合う』

どうしてシオンくんは僕のことを振ったのに僕の心配なんかしてるんだろう。

どうしてショウは男なのにシオンくんを落とせたんだろう。

スマホの電源を切り、スマホをベッドから遠い位置の壁に向かって投げる。

ガコン!という鈍い音が部屋に響き渡った。


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僕が不登校になってから早2ヶ月、とうとう進級が危ういと担任に告げられ別室登校を勧められた。

もう辞めてしまいたい。そう思っていた所に
担任が色紙を渡して来た。

どうやらクラスメイトの皆んなで作り出したらしい。

『待ってる』だの『学校来い』だのと書いてある中でひとりだけびっしりと小さな文字で長文が書かれているのを見つける。

『ずっと孤独だった俺に光を照らしてくれて、愛してくれてありがとう。俺は貴方を友達として大好きであり、愛しています』

「…!」

シオンくんからだ…とすぐにわかった。

そして強調されている"友達として"の文字で僕は再び傷付く。

愛してますと書いてあるがその愛も今は苦しい。
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