幼馴染は私を囲いたい!【菱水シリーズ②】
人形みたいに温度を感じさせないきれいな顔立ちをした渋木さんは陣川さんとは対照的だ。
見惚れていた後輩達が顔を赤くし、うなずいているのが見えた。
さっきの勢いはどこへいったのか、後輩達は渋木さんに口もきけずにいる。

「俺は奏花の隣に座る」

逢生が小学生みたいなことを言い出したところで周りが騒ぎだした。

「あの三人、どこかで見たことない?」

「テレビとか雑誌に出てたよね」

「ピアニストの渋木さんとバイオリニストの陣川さん、チェリストの深月(みづき)さんよ」

「クラシック界の王子じゃない?」

「絶対にそうよね」

なにが王子よ。
こんな魔王レベルの王子がいてたまるかっ!
できることなら、そうツッコミをいれたかった。
しかし、時は一刻を争う。
さっきまで恋が始まっちゃうかも!?なんてドキドキ、ワクワクな空気は木っ端微塵にされて、もはや相手の方はお通夜である。

「逢生。騒ぎになる前に帰った方がいいんじゃないの?」

「奏花がいるなら俺もいる」

逢生がダンッと手を私の横に置いた。
その迫力にサァッーと場の温度が下がった。

「帰るわよ!帰ればいいんでしょっ!」
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