幼馴染は私を囲いたい!【菱水シリーズ②】
陣川さんと逢生の早弾きや桑地さんと渋木さんのジャズアレンジ。
でも、最後はやっぱり梶井さんだった。
梶井さんが弾いたのは白鳥。
お母さんが好きだった曲。
マダム達は惜しみ無い拍手を送っていた。

「梶井さん。今回も素敵だったわねぇ」

「あの若い子達もよかったじゃないの」

「私はCD、持ってるのよ」

「いつの間に!」

演奏が終わるとマダム達は感想を言い合っていた。

「一番よかったのはタンゴじゃない?」

「あのチェロの子。梶井さんに噛みつく子犬みたいで可愛かったわね」

「要チェックよ」

逢生が褒められてる!
よかたったね、逢生。
子犬っていうのが気になるけど、悪い評価じゃないわよ。
ありがとう!ありがとうっと手を握って回りたいとこだけど、それをやるとただのおかしな人だ。
遠巻きに眺めて、目でお礼を言っておいた。
逢生ってば、やるじゃないの。
自分が褒められたみたいに嬉しい。
席を立ち、楽屋へ向かう。
さすがにキスは無理でも頭くらいはなでてあげよう。
そんな気持ちになっていた。
宰田さんから渡されていたIDカードを首からかけて、関係者通路に入った。
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