幼馴染は私を囲いたい!【菱水シリーズ②】
「そうですよ。早く戻ってくださいよー!まずいですって」
「宰田。先に戻っていいよ」
「そんなわけにはいきませんっ」
宰田さんは泣きそうな声で一緒に戻ってくださいよっーと叫んでいた。
「わかってる。戻るけど、奏花」
ちらりと逢生は弘部君を見る。
まさか、この間、ちょっとしかいなかったのに覚えてるの?
いつもの距離より一歩だけ私のそばに近づいた。
「逢生……?」
なんだか雰囲気がいつもより威圧感がある。
「よそ見しないで俺の演奏をちゃんと聴いてよ?」
そう言うと逢生は私の髪を指ですき、髪の先を持ち上げてキスをした。
そして鋭い目で弘部君を見、挑発するように笑う。
「な、なにしてるの!? 早く行きなさいよっ!」
「そうですよっ!」
「奏花、また後で」
私がコンサートに来たことがそんなに嬉しいのかってくらいの笑顔だった。
「寿実。席に戻るわよ」
「そうね。じゃあ、またね。弘部君」
弘部君は無言で頭を下げて仕事に戻っていった。
さっき出た時と違って席は満席に近い。
静かに席がある場所に戻り、舞台を見下ろす。
あそこが逢生の世界。
なんだろう。
空調のせいか、すうすうとした風を感じた。
それだけじゃないよねと心の声が私に囁いた。
逢生を遠くに感じている―――きっと今までで一番逢生が他人に感じた瞬間だった。
「宰田。先に戻っていいよ」
「そんなわけにはいきませんっ」
宰田さんは泣きそうな声で一緒に戻ってくださいよっーと叫んでいた。
「わかってる。戻るけど、奏花」
ちらりと逢生は弘部君を見る。
まさか、この間、ちょっとしかいなかったのに覚えてるの?
いつもの距離より一歩だけ私のそばに近づいた。
「逢生……?」
なんだか雰囲気がいつもより威圧感がある。
「よそ見しないで俺の演奏をちゃんと聴いてよ?」
そう言うと逢生は私の髪を指ですき、髪の先を持ち上げてキスをした。
そして鋭い目で弘部君を見、挑発するように笑う。
「な、なにしてるの!? 早く行きなさいよっ!」
「そうですよっ!」
「奏花、また後で」
私がコンサートに来たことがそんなに嬉しいのかってくらいの笑顔だった。
「寿実。席に戻るわよ」
「そうね。じゃあ、またね。弘部君」
弘部君は無言で頭を下げて仕事に戻っていった。
さっき出た時と違って席は満席に近い。
静かに席がある場所に戻り、舞台を見下ろす。
あそこが逢生の世界。
なんだろう。
空調のせいか、すうすうとした風を感じた。
それだけじゃないよねと心の声が私に囁いた。
逢生を遠くに感じている―――きっと今までで一番逢生が他人に感じた瞬間だった。