独占彼氏〜独り占めして、何が悪い〜
第12章ー新たなる新学期ー
お前がくれた幸せ
ー数日後・学校の昼休みー
クラスのグループLINEに
旅行の写真が次々と上がってくる
"あれヤバかったよね"
"チョコバナナのやつ見返してる"
そんな声が教室に飛び交ってた
窓際の定位置
スマホを片手に
えれなとのツーショットをぼんやり眺める
その時
トコトコとえれなが近づいてきたのが視界に入る
「...お、主役登場」
顔を上げて自然と目が追う
周りの連中の視線がこっちに向いてんのも、全然気にしねぇ
軽く手を伸ばして、当然のように言った
「ほら、こっち
俺の隣空けてある」
旅先でも、ここでも
お前の居場所は最初からここって決まってる
えれなが隣に座ると
周りのざわつきが遠くにぼやけていくみたいだった
2人だけの空気が自然と流れ出す
机に肘をついて
ちらりとえれなを見やる
「...なあ
もうすぐ新学期だな」
少しだけ真面目なトーン
思い返すような声で続ける
「クラス替え、席替え、担任替え 全部一気にくんだろ」
目を細めて、じっとお前の顔を見つめた
「...もしさ 俺と離れることになったら
どうすんの?」
ふざけじゃねぇ
ちょっとだけ本気の不安混じり
「別のやつの隣に座って そいつと毎日喋って笑って...」
軽く笑ってみせるけど、目は真剣だった
「それ、俺 我慢できねぇかも」
すると──
えれなが膝をついて、俺の頬を軽く摘まんでくる
「何言ってるのー?
もしクラス離れてもわたしは
1日に何度でもアオの教室に会いに行くよ?」
そのまま、さらに続けてくる
「それと...
アオと離れてもわたし友達にアオとの惚気
永遠と聞かせる毎日に変わりはないと思う!」
...そんで
いきなり唇に、軽くキスを落としてきた
「っ…!!」
一瞬目が開く
周りの連中がいるの、完全に忘れてやがる
けど──
えれなからのキスの感触を残したまま
ゆっくり顔を伏せて笑った
「...お前、ほんとそういうとこズルいよな」
口元にはまだ温もりが残ってる
そして心の中も、ずっと熱いままだ
「クラスが離れようが、教室が別れようが
そんなの関係ねぇって思えるくらい...
今、めちゃくちゃ幸せだわ」
周りの連中が騒ぎ出すのが聞こえた
“うわあああ〜!”
“見た今の!?”
“尊すぎ!!”
でも俺は、堂々としたまま顔も赤くしねえ
ただ静かに言った
「...なあ、お前ら 見るのは自由だけど
マネはすんなよ」
そのまま
えれなの耳元にだけ小さく囁く
「...お前がくれた幸せ
ちゃんと、全部返すからな
それが俺の“日常”の約束」
お前のぬくもりと空気が
いつも俺の隣にある
それだけで
毎日が十分すぎるくらい幸せだった
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