地味子には秘密があるらしい!
 「えっと……シナモン、嫌いでしたか?」

意を決してそう尋ねれば、壱夜の肩が跳ねる。

そして顔を上げた彼は、ぎこちない笑みを浮かべ。

 「大丈夫だ。十分……美味い」

と言った。その台詞とは似合わず、彼の顔は青ざめていた。

なんだか……申し訳ない。

元はと言えば、私がシナモン味を食べたいと言ったのだ。

彼はそれに無理やり付き合い、こうなった。

 「……ごめんなさい」

 「なぜ謝る。俺は平気だ」

 「そうですか……」

謝罪は不要、という様子の壱夜に黙り込む。

謝罪を繰り返すのは躊躇われるし……

でも陽気に話し掛け、彼の体調を悪化させてはいけないし。

ほら、全然平気な顔じゃない。口の動きめっちゃ遅い。

というわけで、終始無言のまま私たちは店を出た。

後日、優貴に訊いたところ壱夜はシナモンが苦手と判明。

りんご飴デートの土産は、居た堪れなさだけだった。
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