地味子には秘密があるらしい!
 「えっと……シナモン、嫌いでしたか?」

意を決してそう尋ねれば、壱夜の肩が跳ねる。

そして顔を上げた彼は、ぎこちない笑みを浮かべ。

 「大丈夫だ。十分……美味い」

と言った。その台詞とは似合わず、彼の顔は青ざめていた。

なんだか……申し訳ない。

元はと言えば、私がシナモン味を食べたいと言ったのだ。

彼はそれに無理やり付き合い、こうなった。

 「……ごめんなさい」

 「なぜ謝る。俺は平気だ」

 「そうですか……」

謝罪は不要、という様子の壱夜に黙り込む。

謝罪を繰り返すのは躊躇われるし……

でも陽気に話し掛け、彼の体調を悪化させてはいけないし。

ほら、全然平気な顔じゃない。口の動きめっちゃ遅い。

というわけで、終始無言のまま私たちは店を出た。

後日、優貴に訊いたところ壱夜はシナモンが苦手と判明。

りんご飴デートの土産は、居た堪れなさだけだった。
< 61 / 61 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:16

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

黒百合の女帝

総文字数/248,416

恋愛(キケン・ダーク)605ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
嶺春の姫は二人いる。 そのうちの一人、嶺姫が追放されたらしい。 どうやらもう一人の姫、春姫を虐めたんだとか。 ……そういえば最近、ある噂が目立ってるね。 麓冬って暴走族の話。 なんだかそこ、嶺春を潰すって言ってるらしいよ? _❀ ___✟𓏸𓈒𓍯︎︎︎︎❤︎𓍯𓈒𓏸︎︎︎︎✟___❀_  [ 麓冬 - Rokutou - ] 「嶺春に、復讐してやる。」 女総長×元姫×女帝 黒崎 百合 - Kurosaki Yuri 「嶺春を潰してみない?」 副総長×若衆頭×道化師 柳 雪 - Yanagi Yuki 「ユリさん、デートしましょう」 幹部×大学生×初心 三木 夏八 - Miki Kaya 「ま〜た悪巧み〜?いいね〜」 幹部×悪友×情報提供者 原 俊明 - Hara Tosiaki 「俺も黒崎が好きだ」 幹部×学友×不良 棚橋 楽亜 - Tanahasi Rakua  [ 嶺春 - Reisyun - ] 「ユリを、まだ信じたい。」 総長×元カレ×誠実 椿 優日 - Tubaki Yuhi 「勝てれば良い。それだけ。」 副総長×協力者×狡猾 七変化 雅 - Sitihenge Miyabi 「僕なりの罪滅ぼし……かな」 幹部×協力者×中性的 福部 家結 - Hukube Yayu 「サクラだけが好きなんだ」 幹部×番犬×純粋 白川 陽 - Sirakawa You 「あんたのことは聞いてる。裏切り者って」 新幹部×新人×無関心 八雲 草希 - Yakumo Souki 「ユリちゃんだけは、信じちゃダメだよ」 現姫×悪女×片思い 白崎 桜- Sirasaki Sakura これは女帝が復讐を果たすまでのお話。 真実を見抜けぬ愚者に、お仕置きを。 ※一部暴力描写があります。  苦手な方はご注意ください START:2025.10 ~ FINISH:2026.8.13
彼氏の地味男、イケメンだった件

総文字数/0

恋愛(学園)0ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
 「俺と……付き合ってくれませんか?」  「う〜ん。じゃ、付き合ってみよっか!」 と、地味男からの告白を受けたのだが……  「ごめん、加工機能でも体に搭載してるん?」  「違う違う。これが素顔」 実は超絶イケメン男子だった件 ❥❥・•・•・・•・•・•・•・•・•・•・•・•・•❤︎  「意識あるー?可愛い純夏ちゃんだぞ〜」 ◇清楚系の超純粋美少女 ◆ノリがいいお気楽少女  明田 純夏 - Akita Sumika  「普通に今日ビジュ悪いから……見ないで」 ◇存在感空気の超地味男 ◆無名のモデルイケメン  上野 葵 - Ueno Aoi  ◌𓈒𓐍超地味男×超美少女𓐍𓈒◌ ではなく  ︎︎︎︎❤︎超可愛い美男子×超イケメン美少女︎︎︎︎❤︎  超絶甘酸っぱい、青春学園ストーリー!
女帝は道化師に愛される

総文字数/0

恋愛(キケン・ダーク)0ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
 「ユリ、、、お前を、追放する、、、」  「、、、は?」  嶺春という暴走族の姫、ユリ 濡れ衣を着せられた彼女は、嶺春から追放されてしまう。  ユリを陥れた犯人は嶺春の現姫。 彼女はユリを罠に掛ける為、罪を告発したのだった。 負の感情に染まった彼女は、ある『計画』を立て始めた。  「復讐してやる」 _❀ ____✟𓏸𓈒𓍯︎︎︎︎❤︎𓍯𓈒𓏸︎︎︎︎✟___❀_   〔麓冬〕    「私はユリ。誇り高き麓冬の総長」   元姫×女総長  黒崎 百合 - Kurosaki Yuri  「僕は君の本性をよく理解してるつもりだよ」   ヤクザ×副総長  柳 雪 - Yanagi Yuki  「総長さんに近づく奴は誰とて容赦しない」   信者×幹部  三月木 夏夜 - Sangatuki Kaya   〔嶺春〕  「ユリは、、、本当にサクラを虐めたのか?」   元彼×総長  椿 優日 Tubaki Yuuhi  「僕が君を嫌っているのは、単なる同族嫌悪だ」   優男×副総長  七変化 雅 - Sitihenge Miyabi  「僕は、どうすればよかったんだろ」   可愛い系×幹部  福部 夜結 - Hukube Yayu  「サクラだけには、絶対に手ぇ出すな!!!」   初心×幹部  白川 陽 - Sirakawa You  「ユリちゃんだけは、信じちゃいけないよ」   悪女×現姫  白崎 桜 - Sirasaki Sakura   嶺春vs麓冬 華麗なる復讐の先に待っている真実とは!? ※皆様がくれたコメントの中にはネタバレも含まれております 未読の方にはコメント、あとがきは見ないで読み始めることを推薦します

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop